多摩川精機株式会社


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技術情報

当社のジャイロ開発の歴史

 第二次世界大戦に入ってから、航空機用小型ジャイロおよびロケットの誘導用ジャイロの研究が盛んになった。ジャイロの研究は小型、軽量そして高精度という目標があった。主たるジャイロは姿勢ジャイロとレートジャイロであった。それらは戦略兵器の誘導、戦略巡航ミサイル、飛行機の慣性航法装置、弾道ミサイルの誘導、宇宙ロケットの誘導などに活用された。

 1970年代の後半までは、機械式ジャイロの全盛時代であった。高い精度が要求される航法装置は、複数のジンバルからなるステーブルプラットホーム方式であった。これに使われるジャイロは角度ならびに角速度の検出範囲は狭くてもよいが、ドリフトは極限まで小さくする必要があった。この種のジャイロをプラットホーム用ジャイロと呼んでいた。1970年代は、ストラップダウン用ジャイロが使われ始めた時期でもあった。
 ストラップダウンは、プラットホームに相対する言葉としてよく用いられてきた。すなわち、検出範囲が広いレートジャイロを直交3軸に配置して、その角速度を解析的に計算することによって姿勢を求めるというものである。この方式は、従来のプラットホームと同じ役割を果たすものである。これは、コンピュータの発達という時代背景があったゆえの産物である。

 1980年は、リングレーザジャイロを用いたストラップダウン方式の慣性航法装置がボーイングおよびエアバスの航空機に初めて採用された年である。この頃から、ストラップダウン方式が徐々に増加した。同時に従来のプラットホーム方式が徐々に少なくなる傾向を示した。
 1980年から2000年は、「こま」式の回転ジャイロに代わって非回転ジャイロの実用化が広かった時代である。その1つの光学式ジャイロでは、リングレーザジャイロが1980年代に実用化され、その後の1990年代に入って光ファイバジャイロが実用化された。
 一方、現在ガスレートジャイロを呼んでいる流体式ジャイロや振動ジャイロの研究開発は1970年代に米国で盛んに進められ、高い性能を得ることはできないが長寿命および耐環境性に優れ、そして低コストであるという特長が日本の産業界で強い関心をもたれることになった。従来の防衛産業に関わる既存ジャイロメーカーに加えて、民需産業に関わってきたメーカーがジャイロの開発に力を注ぎ始めた時期でもある。
 この頃から、ジャイロは高価で寿命が短いという従来のイメージが大量生産の自動車やビデオカメラに採用されるようになって、大きく変わってきた。日本の自動車メーカー(ホンダ)が、日本の防衛プログラム向けを対象に開発された流体式ジャイロ(ガスレートセンサ)に着目し、その低コスト化と性能向上に成功し、世界で最初のジャイロ式カーナビを1980年代の初めに発表した。これはジャイロが一般産業用に使われたという点で、民需関連メーカーに大きなインパクトを与えたようである。

その後多くの民需関連メーカーが振動ジャイロや光ファイバジャイロの開発に力を注いだ。この流れはMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術と呼ばれるシリコンをベースにした小型ジャイロ開発の流れに影響を与えたと考えられる。MEMS技術を応用したジャイロは、今後さらにその実用化が広まるものと期待されている。ジャイロが従来の軍用用途を主流にしていた時代から、民需用途への広がりを見せる時代になってきた。