ジャイロの種類
- 慣性計測装置(IMU)
- 慣性計測装置(IMU)は、さまざまな移動体の挙動や姿勢、方位の計測だけでなく、位置計測にも欠かせないジャイロセンサユニットです。多摩川精機では、MEMSジャイロや光ファイバジャイロ(FOG)、その応用製品である慣性計測装置(IMU)を製造、販売しており、用途に応じたセンサをお選びいただけます。
- MEMSジャイロ
- MEMSジャイロとは、MEMS技術を用いた角速度を検出するセンサ。多摩川精機のMEMSジャイロでは、原理的には、圧電素子の振動子を用い、回転する物体に働くコリオリ力を利用し、それによる変位を計測しています。またこの振動子には、高いQ値と相対感度を持つニオブ酸リチウム(LiNbO3)を採用しています。
- 光ファイバジャイロ(FOG)
- 光ファイバジャイロ(FOG)は、光の干渉を利用して回転を検出するジャイロです。 内部では光ファイバがコイル状に巻かれており、角速度が印加されると、右回りと左回りに入射された2つの光の伝播時間に差が生じます。FOGはその時間のずれを用いて、角速度を計測しています。
- リングレーザジャイロ(RLG)
- リングレーザジャイロ(RLG)は、リング状に形成された左右両周りのレーザの、回転によって生じる周波数差を利用したジャイロです。
性能/用語
- 角速度
- 角速度とは、単位時間あたりの角度変化量です。単位では、「°/s」、「°/hr」で表されます。
- 加速度
- 加速度とは、単位時間あたりの速度変化量です。単位では、「m/s2」で表されます。
- 姿勢角
- 姿勢角とは、物体が水平面に対して前後、左右方向にどのくらい傾いているかを示す度合いです。前後方向の傾きはピッチ角、左右方向の傾きはロール角とも呼ばれています。
- 方位角
- 方位角とは、X軸を水平面に投影した際の真北からの角度です。一方、真北からではなく、任意の点を基準とした角度をヨー角と呼びます。
- ダイナミックレンジ
- ダイナミックレンジとは、そのセンサにより計測可能な動きの、最小から最大までの範囲のことです。
- バイアス / ドリフト
- バイアス/ドリフトとは、ジャイロ静止時(入力角速度=0)の出力を零点誤差と呼びます。(LEARN MOREページ 左図)零点誤差は時間の経過と共に穏やかで継続的なずれ(LEARN MOREページ 右図)のように変動しています。通常、この変動量の標準偏差(σ)をドリフトと呼びます。ジャイロの特性をよりよく表す誤差量として重要視されています。本サイトでは特記の無い限り、ドリフト値は不感帯処理等を施さない場合の値を表示しています。
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- ランダムウォーク
- ランダムウォークとは、出力のフラツキ度合いを数値化したものです。そのセンサが持っているノイズと考えることができます。
- 感度(スケールファクタ)
- 感度(スケールファクタ)とは、ジャイロの入力(角速度)と出力(電圧)との直線的変化に感じる度合を示します。
理論出力のスケールファクタに対する測定データのスケールファクタの偏りがスケールファクタ誤差です。通常「%」で表示します。
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- 直線性
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直線性の確度を直線性誤差と呼びます。通常下図のようにフルスケールに対する幅の割合a/A×100(%)で表します。
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- 分解能
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ジャイロの分解能は、識別可能な最小入力(角速度)のことです。分解能を計測するには精密レートターンテーブルでジャイロに微小角速度を入力し、ジャイロ出力の有意な変化をみます。量子化誤差を分解能と解釈する場合もあります。
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- クロスカップリング
- クロスカップリングとは、検出軸に対する他軸入力による感度、他軸感度とも呼びます。
- アラン分散
- アラン分散とは、ジャイロ出力の積分値を積分時間で除算した値をプロットしたもので、横軸をクラスター時間(平均を取る時間)、縦軸をアラン分散(σ)で示します。このグラフより、ランダムウォーク、バイアス安定性などを読み取ることができ、また、ジャイロが持つノイズ分を1枚のグラフで表すことができます。
- バイアスインスタビリティ
- バイアスインスタビリティとは、アラン分散における最下点の値を0.664で除した値となります。数値が小さいほど、高性能なジャイロであると言えます。
- キャリブレーション
- キャリブレーションは、基準となる値に対し、誤差補正、校正することを示します。
- ウォームアップ時間
- ウォームアップは、一般的に計測器の精度確保のため、一定時間通電後に使用することを推奨しており,そのための時間を示します。ウォームアップにより,内部回路やセンサ素子の特性変動を抑制することができます。
通信
- RS-232
- RS-232は、 米国電子工業会(EIA)によって標準化されたシリアルポートのインターフェース規格です。パソコンや通信デバイスの通信規格として広く使用されています。
- CAN
- CANは、ISO-11898によって標準化されている通信規格です。元々、自動車内部の通信規格として使用されていましたが、現在は建機、農機や工場設備の分野でも広く使用されています。
演算
- GNSS/INS慣性航法
- GNSS/INS慣性航法とは、GNSSと慣性装置(INS:Inertial Navigation System)を複合化し、高精度で安定した航法を行う技術です。カルマンフィルタにより慣性センサのバイアス誤差の推定を行うことで精度向上をはかることができます。
- レベリング演算
- レベリング演算は、多摩川精機製MEMS IMU(MEMSジャイロ、MEMS加速度計を用いた慣性計測装置)の慣性演算アルゴリズムとして使用しています。ジャイロと加速度を複合化することにより、時間が経っても姿勢角ドリフトが発生しない利点があります。
- 純慣性演算
- 純慣性演算とは、ジャイロと加速度計のみで、姿勢、方位、位置の演算を行うことです。この場合、ジャイロ、加速度の積分誤差が蓄積されドリフトが発生しますので、誤差の小さい光ファイバジャイロ(FOG)やリングレーザージャイロ(RLG)が使用されるのが一般的です。
- 慣性航法
- 慣性航法は、搭載するセンサのみで位置や方角を算出する方法を表します。ただし長い距離を移動した場合誤差が累積して大きくなる特徴があります。
- カルマンフィルタ
- カルマンフィルタとは、状態空間モデルにおいて、時間的に変化する量(位置、速度)に対する誤差を推定し、データの精度を向上させる計算手法です。
機能 ※形式によっては使用できない機能があります。
- オフセットキャンセル
- オフセットキャンセルとは、既定の時間におけるバイアス(零点誤差)の平均値を算出し、以降の演算からバイアスの平均値を除算する機能です。
- アライメント補正
- アライメント補正とは、IMUの設置面に取り付け誤差や傾きがあった場合、通常は水平面を基準にして傾きが出力されますが、本機能を使用した場合に、その設置面をゼロとして設定することができます。
- 方位角不感帯
- 方位角不感帯とは、静止状態における方位角のドリフトを抑制するため、不感帯領域のZ軸角速度の入力はゼロと判断し、方位角の演算に反映されなくなります。
- 自律航法/デッドレコニング(Dead Reckoning)
- 自律航法/デッドレコニング(Dead Reckoning)とは、トンネル内などでGPSが切れた場所においても、ジャイロセンサ、加速度センサなどの各種センサからの情報を合わせて演算処理することによって、高精度で位置測位できる技術。
- センサーフュージョン
- センサーフュージョンとは、複数の異なるセンサからのデータを複合し、より計測信頼性を上げること。もしくは個々のセンサの欠点を相互に補完すること。